内科・外科 くわたクリニック

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メディア情報

セミナー 「量子化学と創薬」

  • 開催日時 平成20年8月6日(水) 16:00 ~ 17:30
  • 開催場所 岐阜大学医学部1階大学院講義室/会議室

内容

望月 祐志
(立教大学 理学部化学科) 「フラグメント分子軌道法によるタンパク 質の高速計算」

フラグメント分子軌道(FMO)法は、タンパク質をアミノ酸残基単位に分割することによって量子論的なフレームワークの下で高速計算出来る方法論の1つである。
特に、計算から得られるフラグメント間の相互作用エネルギー(IFIE)は、ファーマコフォアでのリガンド分子の結合機構、さらに周囲の残基との安定化・不安定化の様相を知る上で有益な指標である。
この講演では、FMO法を概説した後、IFIEの有用性をタイミングデータと共に例示させていただく。

田中 成典
(神戸大学大学院人間発達環境学研究科)「フラグメント分子軌道法による
インフルエンザ・ヘマグルチニンの相互作用解析 」

インフルエンザ・ヘマグルチニン(HA)蛋白質と宿主細胞表面の糖鎖レセプター、およびFab抗体との相互作用をフラグメント分子軌道法に基づき解析した。
フラグメ ント間相互作用エネルギー(IFIE)解析法を用い、前者に関してはヒト・トリ・ブタのHAとヒト・トリ型のレセプターの間の認識特異性をアミノ酸残基レベルで議論することができる。
後者に関しては、HA抗原-抗体複合体のアミノ酸間相互作用の解析により、抗体圧を強く受けるHA側のアミノ酸残基を特定でき、赤血球凝集実験の結果と組み合わせることで、将来変異を起こす可能性の高い残基を予想することも可能である。
このように、蛋白質に対する第一原理電子状態計算が現実的な課題の解決に応用できる状況が訪れつつある。

石川 岳志
(岐阜大学人獣感染防御研究センター)「フラグメント分子軌道法によるプリオンの量子化学計算」

近年、めざましい計算機技術の発展と様々な手法の開発により、生体分子をはじめとする巨大系の量子化学計算が現実のものとなった。中でも、Fragment Molecular Orbital(FMO)法は、計算対象を比較的小さな「フラグメント」に分割することで、タンパク質といった巨大分子のエネルギーや電子密度を化学的精度内で高効率に算出する。また、フラグメント間相互作用エネルギー(IFIE)が定義され、生体分子内における相互作用解析の有用なツールとしても知られている。
本発表では、FMO法を用いた生体分子の応用計算の一例として、プリオンタンパク質と低分子化合物(GN8)の相互作用解析の結果を紹介し、創薬研究における量子化学計算の可能性を示す。

| 2008.08.06